マイクロRNAテストは救世主になれるでしょうか
ガンが猛威を振るっています。生命保険会社などは、二人に一人がガンにかかる時代と喧伝(けんでん)しています。はたしてそうなんでしょうか。一方では、医療の発達により事態が大きく改善しつつあることも事実です。
がん研発表の10年生存率は56.3%です
国立がん研究センターは、ガンの10年生存率が、1年間で0.8ポイント上昇して56.3%だったと発表しました。2002年から4年間でガンと診断された7万人が対象の調査です。とくに、早期の大腸ガン、乳ガンなどの生存率は、9割を越していると発表されました。つまり、定期的な健康診断に努め、早期発見することが大事だというわけです。
5ccの血液で15種類のガンを発見
しかし大腸ガンや乳ガンの検査でも、必要性は分かっていてもなかなか足を運ばないのが実情じゃないでしょうか。今、簡単な血液検査でガンが見つかるという画期的な検査法が広がりつつあります。この検査では、5ccの採血で15種類のガンを発見できるそうです。
精度は約90%、ステージゼロのガンも見つける
ミアテストと呼ばれる検査は、各臓器から出るマイクロRNAを検出して、疾患の早期発見を行うものです。採血から結果が出るまでに3週間ほどかかります。その精度は、約90%です。ちなみに、既存の腫瘍マーカーの精度は約60%ですから、ミアテストの精度の高さが分かります。実は、ステージゼロ(転移の恐れが少ないガン)でも発見できるそうです。「ステージゼロ」なんて言葉知りませんでしたが、すごいですね。
このほかミアテストの特徴は、15種類のガン発見に対応するということです。肺ガン、胃ガン、大腸ガン、乳がん、子宮頸ガン、食堂ガン、舌ガン、肝臓ガン、すい臓ガン、腎臓ガン、甲状腺ガン、脳腫瘍、胆のうガン、前立腺ガン、卵巣ガン。
臓器のどの部分かは判断できません
素晴らしいと思いますが、課題はあります。実は、異常があることは分かっても臓器のどの部分が侵されているかはわかりません。ステージも判断できません。だから異常が見つかったら、改めて専門医の検査を受ける必要があります。
このテストを広げている田原栄俊広島大学院教授は、痛みが出る前に見つけることに大きな意義がある。と強調します。そのとおりでしょうが、異常を発見された人の心理的ケアをどうするか、など対処する必要がありますね。
大きな検査費用が課題です
もう一つ大きな問題は、検査費用が大きいということです。1種類の検査に約4万円~、15種類全部検査すると約5万円~40万円だそうです。現在は全国200か所の医療機関で採血して広島の検査センターに運び検査しています。2013年から、延べ2000体検査したそうです。もっと費用が少なくなればガンの早期発見に大きく貢献することでしょうが。