ベストセラー「妻のトリセツ」(黒川五保子著)をこのブログで紹介しました。
ベストセラー「妻のトリセツ」は世の夫をはたして救うか
離婚の危機に陥らないために
こんど同じ著者が「定年夫婦のトリセツ」を著しました。日本で1年間に離婚する夫婦は21万7000人(2016年)です。せっかく結婚したのに離婚するとは残念なことです。
もし、この夫婦が本書を読んでいたら、別れなくて済んだかも知れません。今、もし離婚の危機にあるご夫婦には、結論を出す前に本書をお薦めします。
また、今は若くて幸せなご夫婦も是非読んでおくべきです。いつか来るかも知れない夫婦の危機を、きっと乗り切る知恵を今から身に付けることが出来ると思います。
著者の黒川氏は、人口知能研究者、脳科学コメンテータ、感性アナリストの肩書を持つサイエンティストです。
脳科学の成果を下敷きに書かれた本書は、読む人を納得させる内容に満ちています。かといって、まったく難しくはありません。
随筆家でもある黒川氏の文章は、平易で読みやすく、大変分かりやすいものになっています。
人生百年は「結婚70年時代」の到来
今や、日本人の寿命は大きく伸びて「人生100年時代」と言われるようになりました。1959年生まれの黒川氏は、自身が100歳まであと40年あることに愕然とします。
それは「結婚70年時代」の到来を意味するからです。
この長い年月を、途中で別れることなく幸せな終末を迎えるには、お互いにどう向き合って生きていけばよいのでしょうか。本書は分かりやすくその答えを用意してくれます。
結婚7年ごとにやってくる危機
黒川氏は、夫婦の道のりは決して安泰ではなく、脳の7年周期に従って、7年ごとに危機がやってくる、と言います。
「結婚したその日から、夫婦の時計は止まらない。
『男と女の』7年、『戦友』の7年ののち、『関心と無関心のゆらぎ』の7年を経て、『腐れ縁』の域へ入ってくる。7年ごとに相手に飽きて(あきれ果てて)、『この人でよかったのかしら』と逡巡しつつ」(本書)
さらに結婚35年目、夫婦は「阿吽の呼吸」期に入っていく・・・。しかし28年目から35年目の7年間は「阿吽の呼吸」か「絶望(夫原病、妻源病」かの分かれ目です。
夫婦の歴史で最大の難関になるかも知れません。結婚しているあなたは、今どの7年目でしょうか。
男と女の脳は真逆
愛し合って結婚した夫婦がうまくいかなくなるのは、男と女の違いを、お互いに理解していないからです。
例えば、夫婦はなぜムカつき合うのか。脳の研究によると、男と女は、あらゆるシーンで正反対の答えを出す、真逆の装置だそうです。そして男と女、真逆の脳は、二つ揃って完全体になるペアの装置・・・。
この脳の違いが分かると、お互いに相手の不可解な言動(一見理由はないはずなのに、なぜ不機嫌? 怒る?。なぜ私の気持ちが分からない?)などが理解できるようになります。
定年夫婦の準備と夫婦互いの「禁則五箇条」
こうした男女の脳の違いを十分理解したうえで、定年夫婦のための準備が説かれます。(1)夫は共感力を身につけ、妻は夫の「ぼうっと」を許そう (2)夫婦の「定番」を作り直そう (3)互いに「個」になる (4)チームになる。
さらに、夫婦がやってはいけない5つのこと ◎「夫の禁則」五箇条 ◎「妻の禁則」五箇条、が説かれています。
読みながら身につまされる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
最後に、夫婦関係が煮詰まりそうになった時、大いに力を発揮するに違いない「魔法の言葉」を著者は教えています。「定年のための準備」や「五箇条の禁則」とともに是非ご自分で確かめてくださいね。
「定年夫婦のトリセツ」(SB新書、800円+税)