我が家にはビワの木が1本あります。毎年沢山の実をつけてくれて、家族や近所の人たちを楽しませてくれます。
ビワのタネ(種子)は1個の実に3~4個入っています。もちろん果肉を食べてタネは捨てています。
でも、日本医師会のホームページで、そのタネをお茶にして販売しているということを知って驚きました。
種子をすりつぶしてティーバッグで販売
ネットで調べてみると、確かに多くの商品が販売されています。
タネをすりつぶしてティーバッグにして販売されている商品です。
なんでビワのタネ茶が売れているかというと、タネに含まれているアミグダリンという成分に対する誤解があるようです。
なんでもアミグダリンをビタミンB17と呼んだ時期もあったとか。
またガンに効果があるという「うわさ」も販売を後押ししたようです。
ビタミン説も明確に否定
しかし、日本医師会のホームページで、ビタミン説も、ガンに効果説も明確に否定されています。
アミグダリンは、ビタミンのように代謝に必須な栄養ではなく、欠乏症もないことから、ビタミンではないと否定されているのです。
また、ガンに効果があるという説も、アメリカの国立がん研究所が研究した結果、否定しています。
今度日本医師会がビワのタネ茶を取り上げたのは、アミグダリンの強い毒性を警告するためです。
青酸という毒物については多くの方が承知しているかと思います。
アミグダリンの強い毒性とは
アミグダリンにはシアン化合物が含まれていて、体内で分解されると強い毒性をもつ青酸を発生するのです。
青酸を大量摂取すると、呼吸困難、めまい、嘔吐、頭痛、痙攣、悪心、などの症状に襲われます。
ひどい場合、死にいたることもあるようです。
日本医師会のホームページには、イスラエルとオーストラリア、アイルランドの女性が、アミグダリン中毒で死亡した例が紹介されています。
アイルランドの32歳の女性は、インターネットで購入した「ビタミンサプリメント」という名のアミグダリン含有製品を摂取したのでした。
現在アメリカではアミグダリンの販売は禁止されています。
粉を小さじ一杯飲んでも中毒
アミグダリンは、ビワだけでなくアンズ、梅、モモ、スモモ、サクランボなどバラ科植物のタネや、未熟な果実に含まれています。
青梅にはとくにたくさんアミグダリンが含まれているそうです。これらのタネをすりつぶして、小さじ1杯程度飲んでも中毒するようです。
でも、熟した果実には少ないので無視してもよいそうです。
市販されているビワのタネ茶も、大量に飲んだり、濃くして飲むことは危ない、と医師会は警告しています。
種子使った杏仁豆腐や煮物も注意
農林水産省は、ネットで見かけるビワの種子を使ったレシピ(杏仁豆腐や煮物)に対しても注意を呼びかけています。
近ごろ健康食品は生活の中に定着してきたようですが、単に評判だけに頼るのではなく、安全性と効果を確かめて利用すべきですね。