地方で優れたアニメ作品を生み出してきた「京都アニメーション」スタジオが、放火というとんでもない事件に巻き込まれました。社員に多くの死傷者を出しました。
これから日本のアニメ界を背負っていくと期待される若いクリエーターを大勢失ったこともあり、関係者は強い衝撃を受けています。
世界中に日本アニメファンを広げた質の高い作品群
京都アニメーションはその品質の高さから「京アニ」と愛称され、世界中に日本アニメのファンを広げてきました。
京アニは色使いが特徴的です。画力、絵の質が圧倒的に高く、丁寧な仕事ぶりもあって、作品を観るとすぐに京アニと知れるものです。
1981年操業の京アニが世に知られるようになったのは「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」(2006年)の大ヒットでした。
物語は、高校に入学した最初の自己紹介で「ただの人間には興味ありません」と発言した変な女の子、涼宮ハルヒを主人公に展開されます。
ハルヒの唯一の友達が「ただの人間」キョン。やがて普通の部活に興味がないハルヒは、キョンと「宇宙人や未来人や超能力者を誘い出して一緒に遊ぶことが目的」の新クラブ「SOS団」を発足させます。
色々なきっかけで「SOS団」にキョンのほかに3人が入部します。唯一の文芸部員・長門有希、ハルヒの上級生・朝比奈みくる、転校生・古泉一樹、です。
実は、ハルヒは知らないんですが、彼らは「ただの人間」ではなく、それぞれ本物の宇宙人、未来人、超能力者だったのです。
彼らは理解不能なハルヒのことを探るために、それぞれ属している勢力から派遣されてハルヒの前に現れたのでした。
ハルヒは自覚していませんが、解析不能な超常現象を引き起こす原因では、と疑われたのです。
物語は、SOS団が、次々に起きる超常現象を世間に秘密裏に解決するという形で展開されます。
「涼宮ハルヒの憂鬱」は、CDも大ヒットしました。日本アニメを世界的に有名にしコスプレの流行も作りました。
京アニの作品が社会現象を生み出したもう一本は「けいおん!」(2009年)です。
この作品は、私立桜が丘女子高等学校を舞台に、4人の女子高校生(後に一人プラス)がバンドを組んで活動する話です。
桜が丘高で廃部寸前だった「軽音部」を立て直すバンド結成から卒業までの物語です。原作は四コママンガです。
「けいおん!」は高校生の間に圧倒的な人気を呼び、全国に高校生バンドが誕生するきっかけになりました。
このほかにも京アニは優れた作品を生み出してきました。
「らき☆すた」(2007年)、「たまこまーけっと」「free!」(20013年)、「中二病でも恋がしたい!戀」(2014年)、「響け!ユーフォニアム」(2015年)ほか数々の作品です。
現在は、男子高校生が水泳で世界を目指す「劇場版FreeーRoad to the Worldー夢」が上演中です。
また来年1月には、両腕を戦争で失い義手で代筆業をする少女が主人公の「劇場版ヴァイオレット エブァガーデン」が公開される予定になっていました。
しかし今回の非常事態に、予定通り公開されるのか心配されています。
大惨事の京アニには、沢山のカンパを含め応援の声が世界中から届いています。私たちも、日本の宝を失うことがないよう、支援したいものです。