最低賃金(時給)は、雇用者が勤労者に最低限支払わなければならない給料のことです。
最低賃金は経営者、労働者、学識経験者の代表らが協議して決められます。実際には、秋以降に改正されます。
今回の引き上げ幅は27円
今年の引き上げ率は約3%で、目安額の上げ幅は全国加重平均で27円です。全国加重平均の賃金は901円になります。
加重平均とは各地域の重要度を加味した平均値のことです。日本の場合、最低賃金は各県によって違うのです。
今回の決定で東京都の最低賃金は1013円、神奈川県は1011円と、初の1千円超となると報じられました。
政府は、最低賃金の全国加重平均を「より早期に」1000円台にしたいと表明しています。今回のように上げ幅3%台のペースでは、その時期は見通しが立たなくなったようです。
地域間格差が広がる
問題は、最低賃金の地域間格差が広がりつつあるということです。
地域間の格差を是正していくべきだったはずですが、今回の目安では、最も低い鹿児島県の最低賃金は787円で、東京都との差は、前年の224円から226円に広がります。
労働側の代表は強く地域間格差の是正を主張しています。経営者側は人件費の高騰で中小企業の経営が難しくなると反対、雇用に影響が出ると主張しています。
放置できないワーキングプアー
確かに中小零細企業にとり、人件費の高騰は大きな問題でしょう。しかし、働いても給料が生活保護費に達しないワーキングプアーが増えている現状も放置できない深刻な問題です。
日本の最低賃金は先進諸国の中でも低いと言われます。地域間格差を設けている国も、ほぼいないそうです。
全国一律最低賃金1500円を提言
最低賃金の今回の決定に関して、一連の報道に目を通しているとき、全国一律最低賃金1500円を求める市民運動団体「エキタス」のことを知りました。
「エキタス」は「経済にデモクラシーを」と掲げ、学生や20~30代の若者が活動しているようです。
彼らは、急激な賃金の上昇が中小企業に重荷になることを防ぐために、社会保険料減免などを主張しています。
また、大企業と中小企業の「公正な取引」の環境づくりが必要で、下請けの中小企業に発注する際、下請けが従業員に1500円以上の賃金を支払っても持続していけるような取引条件にすべきだと提言しています。
社会全体で後押しして底上げを
彼らの主張は耳を傾けるに値すると思いました。最低賃金の底上げは必要です。社会全体で後押しして実現しなければなりません。
経済的貧困は、友人との付き合いなど人間関係を細らせ社会を暗くします。
憲法に保障する「健康で文化的な最低限度の生活」に程遠い生活を強いられている人たちが大勢いる現実を忘れてはいけません。
憲法改正を声高に叫ぶ前に、私たちは取り組まなければならないことがあるのではないでしょうか。