金融庁は、人生100年時代の長い老後の生計をどう支えて生きるか、資産面からの指針案をまとめました。自助努力で確保した資産を利用して長い老後生活を乗り切ろうというわけですね。
どこに消えた「百年安心プラン」
問題は、国民の間では周知の事実となっていた 、年金だけで老後の生活を支えるのは無理だという事実を、政府が公式に認めたと言うことです。
かつて(2014年)公明党などが主導した、現役世代の手取り収入の50%を確保する「100年安心プラン」はどこに消えたのでしょう。
政策ミスのつけが国民に回る
政府がこの指針案を出したのは、年金支給額の維持が難しくなったからです。背景には少子化や、非正規雇用の増加があると説明されています。
しかし、少子化は早くから予測されていたにも関わらず、政府は有効な政策を出してきませんでした。非正規雇用の増加は政府の謝れる労働政策の結果です。
言わば政策ミスのつけを国民に回す狙いが指針案にあります。
高齢、毎月5万円の赤字どうする
指針案では、年金だけが収入の高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の家計収支は平均で月約5万円の赤字と報告しています。
蓄えを取り崩すしかありませんが、20~30年生きると1300万円~2千万円が必要になる計算です。会社は十分な退職金を用意しなくなりましたから大変ですね。
忘れてならないのは、この数字は「平均」だということです。と言うことは、モデルケースの年金額以下の高齢者がゴマンといることです。
ちなみに、18年の高齢者世帯の貯蓄は、全体の約40%が2000万円を超える一方、約23%が500万円以下、と言う数字が出ています。(総務省)
ハッキリ言って、再就職も難しい高齢者に自助努力を要求しても無理でしょう。
政策の名に値しない
金融庁の指針は、勤労者の人生を、働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期、の3つの時期ごとに、蓄えをいかに増やすかを「資産寿命」と言う言葉で示しています。結構なことです。
しかし指針が求めるのは「自助努力」であり、「心構え」を説いているに過ぎません。
これは政策の名に値しませんね。
私たち国民は、選挙で人気取りの投票から卒業して、自分たちの老後を明るくしてくれる政策を実現してくれる政治家は誰か、真剣に考えなければならない時がきたようです。