「子供食堂」が増えています。全国で約3700カ所あります。昨年から1400ヵ所も増えたことになります。
推計で年間160万人の利用者だそうです。急増した背景に何があるのでしょうか。
子供食堂の存在を多くの人が知るようになったこと。周囲に一人で食事する「孤食」や食事抜きの子供が増えていること。
ボランティア意識の高まり、などが考えられます。
はじめ「子ども食堂」は、経済的に厳しい家庭の子供や、一人でご飯を食べる「孤食」の子供に温かいご飯を提供しようとスタートしました。
完全にボランティアです。
ボランティアが自宅で開催する例も
自宅を開放して始めた人や、公民館などを利用している例など、その形態も規模もさまざまです。
子供だけでなく、大人も利用できる食堂が多いようです。
開催も、月に1~2回、週に3~4回など、やはりさまざまです。毎日開いている所もあります。
食事代は子供は無料。大人は300円程度徴収しているようですが、これも各「子ども食堂」の方針で違います。
貧困対策にならないが大きな役割
「子ども食堂」と聞くと、貧困対策を思い浮かべる人もいるかも知れませんね。
残念ながら食事を提供するだけでは貧困対策に程遠いです。でも、大きな役割を果たしつつあります。
しかし、今この日本に、相対的貧困状態と定義される子供が280万人いることも事実です。7人に1人です。
これはOECD(経済協力開発機構)加盟の34か国中、10番目に高い数字です。
これが「経済大国ニッポン」を一皮むいて見える現実です。
※ 相対的貧困= 国内の人々の所得を上から下まで並べて、その真ん中の数値の半分以下の状態。4人家族で年収240万円以下が一つの目安
子育て支援、地域住民の交流の場にも
実際に「子ども食堂」の現状を、いくつかのルポを読んで知りました。それらの報告によると、単に子供に食事を提供するだけではありません。
子ども同士の交流、地域住民の交流、子育て支援、などに広がっていることが分かります。
現代の日本は地縁関係が薄れ、核家族化が進み、共働きが増えています。ひとり親世帯も増えています。
こうした状況の中で「子ども食堂」は、灯台のような役割をしているように感じました。
この光は、もっとたくさん、もっと遠くまで届いてほしいものだと思います。
不足する活動資金とスタッフ
「子ども食堂」が抱える問題もあります。内閣府の調査では「子ども食堂」の活動資金は不足しています。ボランティアで運営するスタッフも、半数の「子ども食堂」が足りないと報告しています。
「子ども食堂」で提供する食材などは近隣の農家に分けてもらったり、寄付に頼ったりしている所が多いようです。
中には、赤字は主催者が補填している例もあります。
細かく条件付けない公的式資金の投入を
「子ども食堂」が社会を明るく照らす存在であることは間違いありません。私は公的資金を積極的に投入、助成すべきではと考えます。
ただし、お役所仕事にありがちな、細かい条件なしでです。
「子ども食堂」の主催者からは、公的資金はありがたいが自由を奪われる、と危惧する声もあります。
子どもの貧困は政治の責任
もともと、7人に一人の子どもが相対的貧困の状態にあるのは政治の失態です。
政治が子ども食堂の活動を応援するのは当然ではありませんか。
なお、子ども食堂を利用する子供について、最も貧困(絶対的貧困)の子どもは参加できてないのでは、という指摘があります。
そういう家庭の子どもには「子ども食堂」の情報が届いてないと危惧されているのです。この辺は、行政の協力があれば解決できると思うのですが。