2018年の日本人の平均寿命がまた延びました。女性は前年より0.05歳延びて87.32歳。男性は0.16歳延びて81.25歳です。
連続して過去最高を更新
女性が6年連続、男性が7年連続で過去最高を更新しました。
この理由は、健康意識の高まりと、ガン・心疾患・脳血管疾患の「3大成人病」で亡くなる人が減ったからだそうです。
ちなみに、世界50の国・地域の中で、日本人の平均寿命は女性が2位、男性は3位です。
女性の1位は香港(87.56歳)、男性の1位は香港(82.17歳)、2位はスイス(81.4歳)です。
問題は「健康寿命」にあり
長生きは結構なことです。しかし問題は、日常的に介護などを必要とすることなく自立した生活を送れているかどうかの指標「健康寿命」です。
2016年のデータでは、女性の健康寿命は74.79歳、男性は72.14歳でした。平均寿命との差が、女性12歳以上、男性9歳以上です。
つまり長生きしても、健康上の問題を抱えて日常生活を制限されて生活する老人が大勢いるということです。
実は、私事ですが、実母(98)と義母(86)がともに「廃用症候群」と診断されて入院しました。
これから増える「廃用症候群」
「廃用症候群」とは聞きなれない病名でした。調べてみて、今後この病名がつく老人が増えるのでは、と思いました。
老人の病気としては、ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称「ロコモ」)が有名になりつつあります。
「ロコモ」は加齢などにより足腰の衰えが原因で日常生活に支障を来している状態のことを言います。
「廃用症候群」は「ロコモ」と違います。もっと怖い病気と言ってよいでしょう。
症状は「運動器障害」だけでなく、「循環・呼吸器障害」「自律神経・精神障害」にまで及びます。
具体的な症状は、「筋萎縮(きんいしゅく)」「関節拘縮(こうしゅく)」「骨萎縮」など。あるいは「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」、「心機能低下」「血栓塞栓(そくせん)症」など。
うつなど精神疾患も引き起こす
また、「うつ状態」「せん妄」「見当識障害」なども引き起こします。
このように「廃用症候群」は、人格破壊にもつながりかねない恐ろしい病気だということが分かります。
「廃用症候群」の原因は「過度の安静状態」です。「廃用症候群」は別名「生活不活発病」と言います。
つまり、病気やケガで長期入院するなど、筋肉をあまり動かさない状態が長期間続くと、筋肉や関節、臓器の運動能力が低下します。
要するに、身体を動かす機会が減ると、この症状が進行するのです。進行は速いと言われます。
とくに高齢者は関節などの痛みが増え、動くことが億劫になり、外出の機会が減少して「廃用症候群」の発症につながりやすいのです。
健康寿命を意識した努力が大事
「廃用症候群」になってしまったら、専門医のアドバイスを受けたリハビリが必要です。また、家族の理解と協力が欠かせません。
家族は、患者が少しでも体を動かすように誘導し、食生活なども十分配慮する必要があります。
長生き時代は結構ですが、「健康寿命」を意識した努力が求められる時代なんですね。