「断・捨・離」(だんしゃり)がブームになったのは8年前でした。今、再び断捨離ブームがくるかもと期待しています。
「断捨離」という言葉に、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
単純に「モノを捨てる」話ではない
私は単純に、「不要なモノは捨てましょう」というくらいにしか理解していませんでした。でも、それがなかなか面倒なんだよなぁ、って。
今度「断捨離」の発案者、やました ひでこさんの新著「人生を変える断捨離」を読んで、とんでもなく浅はかな理解だったことを知りました。
一読、これまでの価値観を揺さぶられ、身近なところから実践を始めています。
やましたさんは、学生時代に出会ったヨガの行法から着想して「断捨離」を日常生活の「片づけ」に落とし込み、23年間一人で試行錯誤を繰り返してきたそうです。
そして15年前、自宅のダイニングに集まった8人の受講生に教えたのが「断捨離」が世に出るスタートでした。
いらい「断捨離」は海外にも広まり、累計400万部を超える多数の関連書籍が出版されています。
やましたさんの教えは、たとえ話が巧みです。たとえば新陳代謝の話。何かを摂り入れたら、消化し、エネルギーを排泄するという生命のメカニズムですね。
家の中が「便秘」状態にあるとは
もし、食べ物を食べて便が出ない状態、つまり便秘が続くといかに苦しいか、容易に想像できます。便秘は万病の元です。
ひょっとして、私達の生活、家の中は、便秘になっていませんか?
モノ溢れの社会の中で「片づかない・・・」と嘆きながらも暮らしていませんか?
やましたさんは、こんな状況を魚になぞらえて表現します。「清流に棲み、俊敏に泳ぐことができるアユが、ヘドロだらけの溜め池で動かないナマズになっている」
溜め池の水を外に流すバルブは「もったいない」「面倒くさい」「いつか使うかも」の意識が邪魔をして(つまり錆びつき)、気づけば「ドブ池」「ヘドロ沼」のようになっている・・・
今の私達の住まいやカラダに例えるなら、代謝が落ちて体内(家の中)に毒素(ゴミやガラクタ)が溜まり切った状態ですね。
カラダは症状が出るまで気づきません。私達の家の「ドブ池」も、気づかないうちに生活を、人生を蝕んでいることが分かります。
この本の中には「ドブ池」をいかにして浄化するかがやさしく書いてあります。
押入れ、キッチン、食器棚、冷蔵庫、本棚、トイレ、玄関・・・
大事なことは、自分の「快適空間」を自覚することから
実践の中には目から鱗もあるかも知れません。しかし大事なことは、考え方を学ぶことです。
私達は「片づけ」というと、いかに効率よくモノを収めるか、「収納」に気を使います。
だがその前に、自分にとって快適な空間とはいかなるものかを意識することから始める、というのが本書が教えるところです。
結局「片づけ」とは、自分の快適な空間を作るためにするのですからね。
この本は、単なるモノの片づけでも、捨てることでもなく、断捨離を通して、閉塞感いっぱいの人生に〝流れ〟を蘇らせる話です。
※「人生を変える断捨離」(ダイヤモンド社、1500円+税)