近年eスポーツが話題を呼んでいます。昨年のアジア大会ジャカルタではeスポーツが公開競技に採用され、日本人が金メダルを取って話題になりました。つぎの杭州大会では正式種目に決まったようです。こうした盛り上がりを受けてオリンピックの種目に採用されると期待する向きもあります。果たしてホントなのか?その前に・・・
Eスポーツって何?スポーツなの?
Eスポーツはエレクトリック・スポーツの略です。早い話がコンピュータゲームをスポーツ仕様に言い換えただけです。ですが世界の競技人口は1億人をはるかに超え、大会の最高賞金28億円 が話題になったりし、ています。
しかし、コントローラー を駆使して小さな画面上で戦う競技が、従来のスポーツのイメージから大きくかけ離れているのは明らかです。野球やサッカー、バレーボール、水泳などに慣れ親しんだ人たちがeスポーツをスポーツとして認めないのは当然かも知れませんね。
絶対認めない、と長嶋氏
某テレビ局の番組で、元プロ野球選手の長嶋一茂氏が、Eスポーツをスポーツとして絶対に認めないと、強く主張したのが印象に残りました。
私自身は、かつて剣道に汗を流し現在は社交ダンス競技会に挑戦しています。その体験から言うと、やはりeスポーツはスポーツとは認めがたいですね。ただし、ゲームとしての競技を否定しているわけではありません。
認めないのは時代遅れ?
Eスポーツを認めないのは時代遅れと言う声を聞きます。そんなことはありません。私は、eスポーツをスポーツだと強弁することは、少年たちの人生に悪影響があるのではと懸念します。
大人もですが、とくに青少年の肉体の健全な発育には、適切に体を動かすスポーツ生活が必要です。今ゲームに夢中な知り合いの小学生を見ていると、ハマりだした頃から運動量が大きく減っています。ゲームがスポーツだと公認されると、青少年の人生に(どちらかと言えばマイナスの)大きな変化を起こすような気がします。
ゲームの悪魔的な魅力
1978年のスペース・インベーダーの爆発的な流行から始まったゲームは、確かに急速に、革新的な進化を遂げつつあります。絶対的に面白いから大人も子供も離さない。あるゲーム制作会社の社長は、一度はまると誰も逃げられないのが現代のゲーム、と自信を持ってその悪魔的な魅力を語っています。
それなら今、なぜゲームはスポーツになろうとしているのか?私は、ゲームを売る側の大きな戦略だと見ています。多額の賞金を用意して次々に大会を開き、たくさんの愛好家を爆発的に増やしています。日本でも外国を真似て、プロ12球団が傘下にeスポーツのチームを育成始めたそうです。
私は、プロ野球関係者がeスポーツをスポーツとして認めたからだとは思えません。“金のなる木”を育てている感覚じゃないのかな。
eスポーツが五輪の正式種目になれない3つの理由
さて、eスポーツはオリンピックの正式種目になれるのか?結論から書くと、以下の理由でムリです。
- 平和の祭典であるオリンピックに、ゲームとはいえ銃器や暴力で戦う内容は認められません
- ゲーム全体は大きくても競技種目は細分化されます。マイナー競技の観客動員が難しい
- 著作権の問題を避けて通れない。ゲーム一つ一つに著作権があります。オリンピックに採用となれば莫大な著作権料を開発者に支払わなければなりません
ゲームをムリにスポーツにする必要はありません。ゲームはゲームとして発展させ、楽しめば良いのです。そう思いませんか。(なお、深刻に広がりつつあるゲーム中毒の話は、また別の問題として取り上げます。)